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感染制御・検査診断学

教室員紹介

プロフィール

氏名 青柳 哲史
所属東邦大学,医学部, 微生物・感染症学講座准教授
大学ホームページhttps://www.toho-u.ac.jp/med/lab/lab_infectious.html
出身大学東北大学
出身地東京都
専門分野内科学
感染症学
呼吸器病学
所属学会日本内科学会
日本感染症学会
日本呼吸器学会
専門医など医学博士(東北大学大学院)
日本感染症学会専門医
日本呼吸器学会専門医
インフェクションコントロールドクター(ICD)

研究テーマ

① 急性肺傷害、敗血症
  -エンドトキシン(LPS)誘発、インフルエンザウイルス感染症よる肺傷害メカニズム・治療方法の開発
② 血液培養由来株の病原性解析
  -血液培養由来のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバシルス・セレウス菌の病原性解析と
   臨床的特徴
③ 肺炎球菌予防ワクチン
  -侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)のサーベイランスシステム構築と肺炎球菌莢膜型の決定

研究内容

いずれの研究テーマも人での感染病態を常に意識し、診療上問題となる病原微生物および重症病態について臨床的・基礎的な検討を他施設と共同で行っている。


① 急性肺傷害、敗血症


ヒトのH5N1鳥インフルエンザウイルスや2009H1N1インフルエンザウイルス感染症による急性肺傷害(ALI/ARDS)は死亡率も高く、ALI/ARDSに対する有効な治療法も限られている。2006年から厚生労働省の事業の一環で国立国際研究センターが中心となりH5N1鳥インフルエンザウイルス感染によるALI/ARDSの発症病態プロジェクトに参加している。これまで、共同研究者とともにエンドトキシンを用いた劇症型ARDSモデルマウスの作成やインフルエンザウイルスを用いたALI/ARDS回復期モデルマウスなど人の病態を反映したモデルマウスの作成に成功している。現在も上記モデルマウスを用いて病態解析・治療法の確立についての免疫学的手法を用いて検討を行っている。 (参考文献:Int Immunol. 2011;23(2):97-108., Clin Exp Immunol. 2013; 173(2): 276-87., Inflammation. 2013; 36(4): 812-20.) (共同研究者 太白病院 佐藤由紀夫、東北大学 川上和義)


② 血液培養由来株の病原性解析


・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)菌血症は死亡率が高いことが知られている。最近、MRSAの病原性を抑制する遺伝子が発見され、動物実験で病態と死亡率に関与することが報告された。東京大学と共同でMRSAの病原性抑制遺伝子の保持・機能調整と実際の人での臨床的な特徴・死亡率との相関関係につて研究を行っている。 (参考文献:Clin Microbiol Infect. doi: 10.1111/1469-0691.12575.(2014)) (共同研究者 東京大学 垣内力、関水和久) ・Bacillus cereus菌は血液培養で検出されても汚染菌として処理されることが多いが、院内感染の主要な菌として問題になることもある。しかし、その病原性と臨床的な特徴については不明な点が多く、現在環境および患者血液培養検体から検出されたB. cereusの病原性・バイフィルム形成・臨床的な特徴について検討を行っている。


③ 肺炎球菌予防ワクチン


肺炎はわが国の死亡の第3位であり、その原因微生物として肺炎球菌は最も重要で、東日本大震災後の肺炎の原因微生物の多くが肺炎球菌であることを報告してきた。また、2013年4月から侵襲性肺炎球菌感染症が感染症法第5類全数把握疾患となり、さらに2014年秋以降肺炎球菌ワクチンの定期接種化になる予定である。肺炎球菌ワクチンは高齢者や基礎疾患を有する人で重症化を抑制することが知られているが、ワクチンに含まれる莢膜血清型を決定するためにも大規模な肺炎球菌感症のサーベイランスが必要となる。厚生労働省の事業の一環で国立感染症研究所を中心に10道県において侵襲性肺炎球菌感染症サーベイランス事業が展開され、宮城県内の多くの施設の協力を得ながら当教室も本事業に参加している。 (参考文献:Vaccine. 2012; 30(22): 3304-10., Chest. 2013;143(2):349-56.) (共同研究者 国立感染症研究所 大石和徳)