

東北大学大学院医学系研究科に平成21年2月16日に臨床微生物解析治療学講座(以下C-MERMAID)を開講した。
以下に概要を示す。
| 教授 | 平潟洋一 |
|---|---|
| 講師 | 矢野寿一 |
| 研究補助員 | 新井和明 |
東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座 感染制御・検査診断学分野においては、これまで東北大学病院検査部および感染管理室と共同で、東北大学病院における院内感染対策、感染症に関連する各種コンサルテーション業務を行ってきた。また、東北感染制御ネットワークを構築し、宮城県・東北地区における感染制御の指導的役割を果たしてきた。さらに感染症クライシスマネージメント人材育成プログラム (Training program for Crisis Management in Infectious Diseases; TCMID)を立ち上げ、東北地域における感染危機管理の人材育成を行っている。
今回、新規にC-MERMAIDを開講し、東北大学病院における横断的な感染症診療の充実、地域における種々の感染症の診療支援を行い、臨床微生物の教育体制の充実、感染症の病態解明と新たな診断法および予防・治療法の開発や臨床疫学的研究を行う。
具体的なC-MERMAIDの設置目的は、関連講座・部門との協力のもと、東北大学医学部・東北大学病院において以下の6点の機能を網羅することである。
臨床微生物解析治療学講座
”Clinical Microbiology with Epidemiological Research & Management and Analysis of Infectious Diseases (C-MERMAID)”
Semi-オープンラボ形式による
東北大学病院における
医学部およびその他の学部の各講座との相互協力
国内外の病院・研究機関・企業および行政との相互協力
国内には感染症を専門する診療科が極めて少なく、東北大学病院および東北地域においても感染症全般に対応しえる診療科が少ないのが現状である。東北大学病院において主として細菌・真菌などによる一般感染症に対応するため、外来診療(一般感染症外来、渡航外来、ワクチン外来など)を行う。また病院横断的な一般感染症コンサルテーション診療を実施する。
さらに東北感染制御ネットワークを活用し、地域における感染症の診断および治療に関する診療支援を行う。
これまで研究者が夫々に特定の微生物について研究することが主であったが、実際の感染症患者においては、患者の基礎疾患や診療行為に伴う免疫能低下、患者自身の常在微生物や環境中の微生物などが病態に大きく関与する。
このような視点から、実際の感染症診療に直結した、病態の解明、新たな診断法・予防法・治療法などの研究を中心に行う。また、国内と欧米では、実際に問題となる感染症が大きく異なり、同じ菌種においても抗菌薬耐性パターンが大きく異なっている。このため、empiric therapyに必要な臨床疫学に関する多施設共同研究を実施し、日本独自のエビデンスを構築し、臨床現場にフィードバックを行う。
さらに、研究スペースをsemi-オープンラボ形式とし、学内および東北地域、国内外の研究者(診断関連および抗微生物薬関連の企業を含む)と積極的に共同研究を行う。
日本はウイルス・細菌などの臨床微生物学や感染症学において極めて優れた指導者を多数排出し、国際的にもこの分野において先進的であった。しかし、現在では国内における臨床微生物学・感染症学を教育する人材の不足により、これらの卒前および卒後教育は不十分となっており、「臨床微生物学」を標榜する講座は存在しない。
基礎の微生物学(主に細菌・真菌分野)と臨床の感染症学との間のトランスレーショナル的な臨床微生物学研究の実施、症例をベースとした病態の解析・診断法および治療法の選択など、基礎と臨床を連携した魅力ある教育を学生および医療従事者に提供する。さらにこの分野における海外の著名な医療施設・研究機関と提携を結び、人事交流を行うことで、国際的な教育および研究を行う。